Novel

□桜散る頃
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桜が咲き誇る春のある日。
空は快晴で太陽が広く暗い大地を照らし出す。
見上げれば雲が笑っているように見える。
そんなある日の会話。


屯所では相変わらずの忙しさ。
隊士達は屯所の見回りや、京の見回りで忙しく出入りが激しい。
しかし、ある場所はそんな忙しさを全く見せない程にのほほんとしていた。
長髪の女性のような顔をしたかわいらしい青年が、縁側に座り膝には小さなこぶたを抱えていた。
「良い天気だね〜!サイゾーの大好きな快晴だよ〜」
「プギッ!」
サイゾーと呼ばれたこぶたは、返事をするようにぴょんっと一回跳ねた。
その様子を見て、青年は楽しそうに笑い優しくサイゾーの頭を撫でる。
「外は忙しいけど、たまにはこうやってのほほんとするのも悪くないよね」


「悪くないが、お前溜まった仕事はどうした?」
低い声が青年の言葉を咎めた。
振り返ると後ろに長い髪を束ねた、一見厳しそうで怖いイメージを持っている男性が立っていた。
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