〜Short dream〜
□拝啓、君に届きますように…
1ページ/1ページ
遠くなった君へ
君がいなくなってから、もう3年の月日経ちました。
俺は随分背が伸びました。少し髪型も変えました。
君はいつまでも変わらずに俺の中に入ってきて、俺の心を掻き乱していきます。
変わらぬ笑顔で、色褪せることなく寧ろもっと君という存在が俺の中で大きなものになってきている気さえします。
今の俺だったら君を助けることができたでしょうか、今は亡き君を。
あの頃の俺は未熟で「守る」ことの意味さえ知りませんでした。
こんな俺を好きになってくれて有り難う。
ずっと一緒にいたいって言ってくれて有り難う。
俺も君とずっと一緒にいたかったです。
明日、俺は重要な任務があります。
とても危険な任務です。もしかしたら死ぬかもしれません。
もし俺が死んだら、またあの頃と同じ笑顔で俺を迎えてくれますか。
あの頃のようにまた俺を好きでいてくれますか。
君を守れなかった俺を許してくれますか。
そして、俺とずっと一緒にいてくれますか。
また、逢えますか。
この手紙は届いてくれますか。
君の元へと届いてくれますか。
(君は「生きて」と俺に言った。でも、俺は生きたくなんかなかった。明日、俺は死ぬだろう。そんな気がする。死ねば君に逢える気がする。君は馬鹿だと言うだろうか。なら馬鹿でいい。馬鹿でいいから、ずっと一緒にいてください。)
柿本千種
(この世界に、さよならをした)