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□手をつなぐ僕らの未来
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僕と手を繋いでいないと、君は死ぬ。

君の右手を僕の左手が握っていないと君の心臓は止まる。だから僕らが離れたら君は死ぬ。

そういう仕組みなのだと、初めて会ったとき言った。

古い骨董屋に君はいた。埃にまみれて棚の奥にいた。瞳を閉じた君は美しかった。毎日毎日骨董屋に通い君に会いに行った。

「こんな壊れた人形でよければ」

店主さんは僕に優しく微笑んだ。お金はいらないよと人形を差し出した。僕は嬉しくて家まで走って帰った。君を小脇に抱えて。無意識に君の右手を握った。その瞬間、電気が走ったように君は瞳を開けた。

「おはよう」

君は平坦な口調で僕に話しかける。結局それは最後まで変わらない。そして手を堅く握りしめ、君の命の説明をした。

僕らは手をヒモで結んで、2人の手が離れぬようにした。いつでも一緒。僕の左手は君の右手を放さない。君の手はいつも冷たい。僕の手は温かっただろうか?

しかし、僕らの手が放れることなく過ごすのは容易ではなかった。

狭い道も2人で通らなくてはいけなかった。何をするにしても同時に行わなくてはいけなかった。

だから事故にあっときも。あの車にひかれた日も僕らは同時だった。



僕らの手はそれでも放れなかった。けれどその事故は僕の命を奪う結果となった。人形である君は無事だった。


君の手が僕の脈が弱くなるのを聞く。僕には両親がいない。看取ってくれるのは君だけだった。幸せに感じた。

いつまでも君は僕の手を握り生きて欲しい。君は永い眠りから目覚め世界を知った。僕と同じ世界を共感し合った。いつしか僕は君を自分の子供のような、もしくは自分の彼女のような存在と思い始めた。

未来を願った。
幸せを願った。
誰よりも何よりも輝いて。
誰よりも何よりも美しく。




「あなたの生きていない世界なんて」


君はそっと呟く。僕の手を握りしめたまま、君はそっと瞳を閉じた。涙は流れない。ただ静かにそのときを待つ。僕の脈が消えるのと同時に君も電池が切れたように動かなくなった。


僕の心臓の音が君のエネルギーだったなんて僕は知らず。


ただひたすら君の未来を願い眠りについた。

僕と君は手をつないだまま2人で永遠の眠りについた。







手をつなぐ僕らの未来
僕の手が君の命を生み、僕の死が君の死を呼ぶなんて思ってもみなかったんだ....

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