Novel
□June Bride
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もう、私の役目は終わったんだ。
――新しい日々は、君と一緒に――
ソウルとコンビを組んでから今まで、私はとにかく必死だった。パパを(まがいなりにも)デスサイズにしたママのように、私だってソウルを立派な武器にするんだ、と。
そう思って、どんなに辛い修行にも耐え、死線をさ迷う戦いも切り抜け、例えすれ違うことがあったって本音をぶつけ合ってまたその絆を強くした。
けれど、それも今日でおしまい。
私は先日、ソウルに99個の魂と、今度こそは本物の魔女の魂を食べさせることに成功した。そう、私はついにソウルをデスサイズに作り上げたのだ。
「――マカちゃん!」
「椿ちゃん……」
バルコニーで頬杖をついて、景色を見るでもなく眺めていた私の隣に椿ちゃんは並んだ。いまひとつテンションの低い私を心配そうに覗き込む。
「マカちゃん、大丈夫…?」
「え? あ、うんごめんねなんかシラケてて…。せっかくキッドやみんなが用意してくれたお祝いのパーティーなのに」
「いいえ、それはいいの。ただ……」
「ただ?」
「マカちゃんが、大丈夫?」
「え?」
私、が? どうして?
椿ちゃんの質問の意味を測りかねて、私は思わず黙ってしまう。それを察してくれたのか椿ちゃんが「ほら、」と一瞬思案した様子を見せ、
「ソウル君がデスサイズになったら、やっぱりマカちゃんとの関わり方もきっと変わってくるでしょう?」
と言った。
「うん…そうだね。少なくとも、今までみたいに四六時中一緒にいるわくにはいかないと思う」
もし世界中に派遣されることになったら、それから年に三回も会えたらいい方になってしまう。今までは意識的に考えないようにしてきたけれど、デスサイズになるというのはつまりはそういうことだ。
「だから…ね。マカちゃん、寂しくない…?」
「え……」
前提の中に入れてもいなかった感情の提示に、思う戸惑う。そして、問う。
私は、寂しいんだろうか――?
私の日常からソウルがいなくなることを、私は寂しがるんだろうか。
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