Treasure

□お嬢様の憂鬱〜執事の受難〜
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その日、朽木ルキアは落ち込んでいた。



「万事休す…」

はああ、と広い自室に響き渡るほど大きなため息をつく。



ルキアに降って湧いた縁談。
本意ではない結婚の話。彼女は意を決し、仕掛人である実兄に、「私は見合いをする気はございません」と進言したのだ。

ハッキリとルキアが自分に意見したことが意外だったのだろう。彼は驚いたようにルキアを見返したが、申し訳なさそうに眉尻を下げ、「すまぬが、もう日取りが決まってしまったのだ」と謝った。



「決まっちまったもんは仕方ねえだろ」

あっさりと言うのは、ルキアの執事・黒崎一護。

「貴様、随分簡単に言うな」

「簡単にじゃねえよ。大体、この前も言ったけど、見合いしたからって、絶対結婚しなきゃなんねえってわけじゃねえんだぞ」

「それは、…そうだが…」

「どうすんだよ、相手がすげえお前好みだったりしたら」

ルキアのタイプなど知るはずもないが、一護は発破をかけてやる。

「……ふむ、そうか」

いわゆる、発想の転換というやつだ。
ルキアもなるほど、と頷いた。

「そうは言っても、相手の趣味もあるからなー」

「貴様…!」


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