Treasure

□虹の理由
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虹の梺には宝物がある。

そんな話を聞いたら。

確かめずにはいられなかった。



*虹の理由*



「ってエル、そんなコト信じてんのかよ?」

 本を朗読したエルに、スパーダが馬鹿にしたような口調で言うとエルは、だってなと付け足しながら答えた。


「だって、宝なんて凄いやん!なんかエライごっついものやで!?」

「宝ねェ……」

 だが、スパーダはそんな話しには興味はないらしくボーと外を眺めていた。
それを見たエルは溜め息。


「なぁ兄ちゃん。いくら姉ちゃんが気になるゆーてもその態度はないわ」


とエルが言うのも、アンジュが朝早く一人で買い物に行って中々帰って来ない為、スパーダがそわそわして外をチラチラ見ていたのだ。


「……っ!!俺は別にアンジュのことなんて気にしてねェ!」


「あれ?ウチはアンジュ姉ちゃんなんて言ってへんで」

ニヤリとエルが微笑むその姿にスパーダは焦りを見せたが、直ぐに咳払いをしてエルに向き合った。



「大人をからかうと痛い目合うぜェ?」

「大人って言うんやったら答え教えてや。“宝って一体何か?”」

「うっ……」

そんな答え、スパーダの口からそう簡単に出る訳がない。大体何を基準で“宝”と言っているのか分からないのだから。


「あ、外雨降ってるわ…」

急に外を見たエルが呟いた。ザーと、冷たそうな雨の音が響く。


「って、アンジュの奴傘持ってねェじゃんかよ!ちょい行ってくる!」


宿の店主に傘を一つ借り、スパーダは外へ飛び出した。あのまま居てたらエルにからかわれるだろうから……



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