スキマスイッチ御題

□☆V.焦る僕 解ける手 離れてく君
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「だけどな…確かに色々あって死ぬような目にもかなりの数あってきたけどな、同じくらいの数、お前に救われた気がする」
「え?」
「どんなに情けなくなってもさ、お前だけは遠慮なく俺を蹴り飛ばしてくれたよなー」
「当たり前だ、貴様は意外とちょっとしたことでへこむからな」
「で、お前に蹴り飛ばされてさ、なんかまた頑張らねーとって思ってる俺がいたわけ」
「……。」

 キン、と音を立てて背後に扉が現れたのがわかった。それを開いてくぐってしまえばこれでさよなら。

 そのせいか一護が少しばかり間を置いて紡ぎ出す。

「だからな…ありがとう」

 さよならは言わない。その代わり君に言うのはこの言葉。

「…あぁ」

 ルキアがすっと、手を解いた。

「こちらこそ、だ。……ではな」

 今度はしっかり目を合わせて。

「おう、じゃあな…元気で」

 ルキアが何かを振り切るように戸を開く。そしてゆっくりと片足を越えさせて、ふいに顔だけ振り返った。もう一度だけ相手のブラウンの瞳を見つめて、はっきりと言う。

 この言葉を彼は望んではいないだろうけれど、ルキアの中で決着を付けるためには言っておかなくてはならない。

「じゃあ一護……さよなら」

 そうして、ルキアは帰って行った。一護の心に最後の微笑みを残して。






「――すまぬ、一護」

 がむしゃらに走りながら、ルキアはただ呟く。

「本当は悪いとわかっているが…わたしを忘れた貴様など、想像したくなかった…!」

 だから貴方の記憶は残して行く。

 それがルキアの、最後の罪。









fin.

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