スキマスイッチ御題
□☆V.焦る僕 解ける手 離れてく君
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「え?」
「怖かった…貴様に面と向かって『帰る』と告げるのが」
「……。」
「貴様の目を見て告げるのは…わたしが耐えられないと思って…」
そう、結局はルキア自身のわがまま。
「耐えられなくなったら…きっとわたしは帰りたくないなんて愚かなことを考え…!?」
一瞬、何が起こったかわからなかった。
「い、一護!?」
普通、わかるわけがない。彼に、抱きしめられただなんて。
「だ、だめだ一護、放せ!」
状況を理解してから顔を真っ赤にしてあたふたと引き離しにかかるルキア。
しかし性別からくる腕力の差は越えられるはずもなく、それどころか彼は尚更力を込めてくる。
「だ、だからだめだと言って…!」
ふいに、彼がその額をルキアのそれにあてた。
これ以上無いほどの至近距離で絡まる二つの視線。
「…放してくれ」
「嫌だ」
「何故だ」
「何故って……」
一護は台詞を切ると、愛着と辛さと僅かの呆れがないまぜになったような顔をした。
「さっきからお前、『だめ』としか言ってない」
「……!!」
いきなりはたかれた様な気分になるのと同時に、色々な意味で全てが終わったような気がした。
二人の最後のボーダーラインの崩壊が確実になった今、他のことなんてどうでもいい。