スキマスイッチ御題

□☆Y.セカイを開くのは僕だ
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 三階の窓までよじ登る、という作業は高い所が好きな身にもそれなりに重労働だった。足を踏み外したりしたらさすがにノーダメージとはいかないだろうし、第一この記念すべき日にそんな間抜けなことはやらかしたくない。けれど、彼の驚いた顔が見たくて。彼の意識を一瞬でもいいから独り占めしたくて。

 ――上から馬鹿な言い合いが聞こえて来る。…正体も知らずに戦っていたのか、奴は。呆れと同時に笑みがこぼれて、わたしは反射的に叫んでいた。

「たわけ! 貴様がこの間ボコボコにやられた連中のことだ!!」
窓枠に立ち、少しカッコつけて笑ってみせたわたしの目に最初に入ったのは――。

 彼の、フヌケた顔だった。




Y.セカイを開くのは僕だ





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