スキマスイッチ御題

□☆X.同じ歩幅で歩いてく、そんな風でいたいよね
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 夏生まれだから、というのは正当な理由にはならないかもしれないが、無駄に寒いだけの冬という季節は正直あまり好きではなかった。

 他の季節に比べてなんとなく雰囲気が淋しいし、手は凍えるし、着膨れするし。長所なんてひとつもない季節だと思っていた。去年までは。

 でも今年は明らかに違った。だって冬が来なかったら、アイツの誕生日が永遠にこないし、よくよく考えれば冬の寒さにもそれなりに有効な利用法があるというもので。

(とは言ってみたけどな…)

 利用法を思いつく、ということとそれを実行に移す、ということはまた別の話だという厳しい現実にぶち当たり、一護は小さくため息をついた。
 隣を歩く『ため息の原因』がそれをみて少し怪訝な顔をしたが、さして気にした風でもなく、また能天気に歩き始める。二人の身長差に合わせてわざわざこちらが歩調を遅らせているなんて、彼女は考えたこともないだろう。

 そう、きっと少しも――。


X.同じ歩幅で歩いてく、そんな風でいたいよね



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