歌詞30題

□27.きみのことがね 好きですたぶん
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今更になって気付いてしまった。


気付かなければよかった。












「世話になったな」



堪えたような声に、胸が震えた。



「私は大丈夫だから」



握った右手に体中の熱が集まった。



「せめて貴様は幸せになれ」



目が離せなくなった。



「さよならだ、一護」



一言も言葉を発さない俺に背を向けて彼女は歩き出す。

瞬間、無意識のうちにその小さな背中に抱き付いていた。



「――っ!?は、離せ!!」



腕を振り回して逃げだそうとする彼女。
すがりつくように、さらに力を強めて抱きしめた。



「いきなりどうした…一護!?」

「何でだよ…」

「え?」

「何でお前はっ…」



俺に自覚させた途端にいなくなっちまうんだよ。

幸せになれだなんて。
そんな泣きそうな笑顔で言われたって。



「行かないでくれよ…」



自分の中で燻っていた感情の正体を知ったが最後。

俺はもうお前がいない世界じゃ生きられなくなっちまった。



細い体に回した両腕。
その手の甲に冷たさを感じたのと、自分の頬に涙が伝ったのは同時だった。
 
 
 
 
 
 
 
きみのことがね
きですたぶん

(何もかもがもう手遅れだけど)








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