スキマスイッチ御題

□☆U.君の話
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 唐突に、意識が浮かびあがった。少しずつ外からの刺激を感じ取る。遠いざわめき、ツンと鼻につく薬品の香り……そして、手のひらからはっきり感じる誰かの体温。

 その感触になんとなく覚えがあって、俺はまだ閉じていたかった瞼をようやく押し開けた。ぼんやりと焦点の合わない視界。

 誰か、俺の隣にいる…?

「…一護!」

瞬間、大きな紫暗の瞳とぶつかった。

 突然のことにまだぼんやりした頭はきちんと機能してくれず、彼女のことを認識するのにたっぷり五秒はかかってしまった。

 なかなか反応を返さない俺に彼女が不安な表情を見せた頃、

「……ルキア?」

いきなり、見える世界がはっきりした。



U.君の話



意識が戻ってまもなくしてやってきた四番隊員の話によると、例の藍染の反逆事件の直後の井上による治療中、俺は疲労と緊張の切れで眠ってしまったらしい。

 それから念のため救護詰所に入れられたのはいいものの、丸一日たっても目覚めずそろそろ心配されだした頃だったそうだ(ある意味いいタイミングで起きれたかもしれない)。それだけ言って、その隊員は忙しそうに病室を後にした。

……が、

「なんでてめぇがここにいんだよ」

 俺は目覚めた時から部屋にいた少女に聞いた。彼女‐ルキア‐は少しむっとした風に、

「なんでとはなんだ、貴様がなかなか目覚めぬからわざわざ様子を見に来てやったのだ」

と言い返す。

「へー、心配してくれたのかよ」

 よせばいいのに、俺はわざとひねくれた声を出したがルキアも負けてはいなかった。

「心配ではない、すでに客人に等しくなった貴様に尸魂界(こちら)で死なれてはわたしたちが迷惑するからだ」

つん、と若干顔を背ける姿を見ながらなんだかものすごく馬鹿ばかしいことを言いあっている気がしてきた。

いや、実際しているのだけれど。



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