☆小説☆
□服属慕情
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キバは、シノのベッドで気だるそうに横になっていた。
疲れもあってか、少し熱が出ている。
シノは今まで感じた事のない感情を心に抱きながら、キバの看病を続けた。
自分がした事は、世間的に見て許されることではない。
しかしキバは許してくれた。愛してると何度も言ってくれた。
何故か、心が安らいだ。
「ん・・・、シノ・・?」
キバが、傍にいるシノに気づき目を開く。
うつろう意識の中シノに顔を傾け、
「ゴメン・・世話させちゃって・・」
と詫びる。
あんな事があったというのに、シノに謝罪をするキバ。
シノは少し心が締め付けられる思いがした。
「い・・いや。・・俺の方こそ・・すまなかった・・」
素直に謝罪をする。キバは少し悪戯っぽく微笑し、
「・・・・そんな事いって・・また騙すのかよ・・?」
「・・・!!」
シノの心が痛む。確かにさっきは同じ台詞を吐いて、キバを裏切った。だが今回の言葉は本心。
裏切ったのは自分のハズなのに、今のキバの「冗談」がシノ自身、裏切られた気持ちになった。
こんな気持ち、自分勝手なものでしかない。
キバはこれを何度味わった事か。
それをさせたのは自分。
シノの顔が厳しいものになる。言葉も出てこない。
そんなシノの様子にキバは
「・・?あ・・ゴメン・・な・・。余計な事言っちゃった・・」
と目を伏せ、涙声で謝るキバ。シノを傷つけてしまったと思い、キバの目がじわりと涙でぬれる。
互いの気持ちが揺れ、絡み合い、複雑化する。そのうち、二人は無言になり、重い空気が流れた。