☆小説☆

□服属慕情
2ページ/8ページ

キバは、シノのベッドで気だるそうに横になっていた。
疲れもあってか、少し熱が出ている。
シノは今まで感じた事のない感情を心に抱きながら、キバの看病を続けた。
自分がした事は、世間的に見て許されることではない。
しかしキバは許してくれた。愛してると何度も言ってくれた。


何故か、心が安らいだ。


「ん・・・、シノ・・?」

キバが、傍にいるシノに気づき目を開く。
うつろう意識の中シノに顔を傾け、

「ゴメン・・世話させちゃって・・」

と詫びる。
あんな事があったというのに、シノに謝罪をするキバ。
シノは少し心が締め付けられる思いがした。

「い・・いや。・・俺の方こそ・・すまなかった・・」

素直に謝罪をする。キバは少し悪戯っぽく微笑し、

「・・・・そんな事いって・・また騙すのかよ・・?」

「・・・!!」

シノの心が痛む。確かにさっきは同じ台詞を吐いて、キバを裏切った。だが今回の言葉は本心。
裏切ったのは自分のハズなのに、今のキバの「冗談」がシノ自身、裏切られた気持ちになった。

こんな気持ち、自分勝手なものでしかない。
キバはこれを何度味わった事か。
それをさせたのは自分。

シノの顔が厳しいものになる。言葉も出てこない。
そんなシノの様子にキバは

「・・?あ・・ゴメン・・な・・。余計な事言っちゃった・・」

と目を伏せ、涙声で謝るキバ。シノを傷つけてしまったと思い、キバの目がじわりと涙でぬれる。
互いの気持ちが揺れ、絡み合い、複雑化する。そのうち、二人は無言になり、重い空気が流れた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ