☆小説2☆
□冬の空に願いを込めて
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「さみぃ〜!!」
ひゅうっと冷たい風がキバとシノの間を吹き抜けた。
もう冬。
まだ雪こそ降ってはいないが、気温はかなり下がって毎日冷え込んでいる。
「ふわぁ〜めっちゃさみぃ!!こんな日に出掛けるなんてどうかしてるぜ全く!!」
「…家に閉じこもっていては身体がなまるといったのは誰だ…?」
「…ぎく。や、やっぱ子供は風の子だもんな!出掛けて正解だったぜぇ〜」
「…やれやれ…」
苦笑いをしながら、たたっとシノの前を駆け足で進むキバ。
キバの後ろを、シノはゆったりと歩く。
空は曇っていて、白がかった灰の雲が覆っている。
雲の合間から太陽の光が微かに漏れていた。
「で…、どこに行くんだ?」
「さぁな!散歩だし。その辺ぶら〜っとかな」
「…そうか…」
キバが前、シノが後ろでテクテク歩き進む。時折、軽く笑いを交えた会話をして。
いつもはクールなシノも、キバと居るときには微笑みを零す。