☆小説2☆
□この世で一番
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「もう!!シノの馬鹿!!」
俺はシノの家から駆け出てきてしまった。
…シノと喧嘩しちゃったから…。
家にも帰りたくなくて、とぼとぼ歩き続けた。
歩く途中で、とめどなく涙が出てくる。こすりこすり、嗚咽を交えて泣き歩く。
ふと見ると公園があり、立ち寄ってみると、ベンチには先客が。
「ってあれ…?シカマルじゃん…」
ベンチに横になって眠っていたのはシカマルだった。
「んぁ…?あぁ…キバか…。座るのか?」
目を覚ましたシカマル。上体を起こしてスペースを空けてくれた。
「あ、あぁ。ありがと…」
すとんとシカマルの隣に腰掛ける。シカマルはあくびをして目をこすりながら、俺の顔を見た。
「…どうした?目、真っ赤だぞ…。泣いたのか…?」
「え?!うそ!!」
あわてて目を隠す。男が泣いてるなんて、それを仲間に見られるなんて格好悪い。
「え、えと…これはちが…」
しどろもどろに言い訳を返す。シカマルは呆れたように息を吐いて。
「シノ、だろ…?」
ぎく。ぴた、と動きが止まってしまった。