Waffle

□rain or shine
1ページ/1ページ

いつもいつも、唐突なのはお互い様。



だから今日は、俺の番。





「……何でここに居るん?」

「佐藤のこと待ってたに決まってるじゃん!」

冬休み明けの始業式。

藤代誠二は桜上水中学校校門前でちょっとした待ち伏せを試みる。

時間を狙って待っていた甲斐あって、程なくその対象人物はやってきた。

学ランの中にパーカーを着込み、あくびを噛み殺しながら。

見間違う筈の無い金色の長い髪を風に遊ばせて歩いてくる。

校門の影から様子を伺って飛び出して手を握るとさすがに驚いたようで。

そんな成樹の表情に計画の成功を確信し、自然と笑みが漏れた。

でも笑顔の原因は、それだけでは無くもっと単純なものが大半を占めている。

それは目の前で茫然としている、自分よりほんの少しだけ背の低い人の存在。

「…学校は?」

「俺たちのトコ明日から」

「あー…、私立はええなぁ」

「そんな睨むなって。たかが1日じゃん」

恨めしそうに視線を送って歩き出す成樹に苦笑しながらついていく。

正面から北風が強く吹き抜けていった。

「で、冬休み最後の貴重な日を佐藤と過ごそうと思って」

にっこりと笑いかけると、そりゃどうも、と苦笑混じり成樹の声。

反応が冷たい、と文句を言えば軽く受け流される始末。

運良くまだ誰とも擦れ違っていないから、繋いだままの、二人の手。

外で待っていた自分よりも冷えたその手を温めるように、そっと、指を絡める。



「あ、何か予定あった?」

「いや、帰って寝よ思てた。…あ」

自分の隣を歩きながら思い出したように、でも丁度良かったわ、と呟く。

「会いに行こうか電話しようか思てたんや」

「え、マジでっ?」

瞬時に表情を明るくする藤代に笑いながら成樹は鞄の中をごそごそと探る。

そして。

「金無いシゲちゃんからの貴重なプレゼントやで。大事にしぃや」

ほんの少しだけ、照れくさそうに笑いながら小さな包みを差し出した。

「えっ…これっ…?」

「盆正月は寺忙しいねん。当日に渡そ思たけど無理やった、堪忍な」

誕生日おめでとさん。

そんな嬉しい言葉をくれるから。



「佐藤、好きーーっ」

「っ、真っ昼間に往来で抱きつくなーっ!!」



ほんの少しのやり取りで、幸せをくれる君がすき。



「えー…じゃあ佐藤ん家行っていい?」

「だ・め」

「ええ〜っ」





いつもいつも、唐突なのはお互い様。



だけど今日も、君の勝ち。






*****2005/01/08
お初藤シゲです。…こんな感じで…よろしいのでしょう…か…?弱。
書き始めたら何だかスムーズに出来上がったお話です、内容は…ともかく。笑。
藤代くん大好きです!犬やわんこ(同じ…)も大好きです☆
仲良し二人が書けて楽しかったです☆どうも有り難うございました。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ