Waffle
□bloom
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「お〜っ!何やめっさ綺麗やん!!」
薄紅色に広がる空を見上げながら成樹が感嘆な声を上げた。
「…佐藤」
「ん?」
「いつまでそうしているつもりだ?」
頭上から見下ろしてくる不破に成樹はへへっと笑い返す。
「ん〜…、飽きるまで?」
自分の足を膝枕に使い、屈託ない笑顔を見せる成樹に、諦めたように不破はベンチの背に体重を預けて成樹の髪を撫でてやった。
今を遡ること数十分前。
「不破センセ!」
「!」
近くの本屋へと向かう途中。
聞き慣れた呼び名とイントネーションに振り返るよりも早く、不破の腕を成樹が引いていた。
「佐藤?」
「お花見行こや」
「花見?」
「せや。おっきな桜見付けてん」
「まだ花を付けているのか?」
「それが満開やねん」
見る価値はあるんやない?
当惑する不破に笑み、半ば強引な誘い。
楽しそうに腕を引く成樹に、不破は只、大人しく引きずられるようについて行くだけだった。
「おわっ、すご〜!」
通り過ぎた突風に沢山の花弁が舞い降りる。
そのどこか神秘的な風景に、不破の膝を占領していた成樹が思わず起き上がった。
「な?来てよかったやろ?」
視線を戻してきた成樹に頷き返す。
「今年の桜もそろそろ終わりか」
「もっと北はこれかららしいけどなぁ」
云って見上げた成樹の視線を辿り、不破も薄紅色の空を仰ぐ。
もう少しだけ、二人を包むこの風景を留めておきたくて。
風雨に弱い短命な花
とてもとても繊細で
とてもとてもか弱くて
それでも精一杯に色付ける
人に愛される春色の花
儚く強い、春の花
「なぁ、不破」
そっと重ねてくる成樹の手を握り返し、視線で先を促す。
「来年も一緒に見れたらええな」
それは未来を語らない成樹の苦手な『不確かな約束』のようだった。
静かに呟いた成樹の笑みが花吹雪に溶けてしまうような錯覚を覚え。
「そうだな」
無意識に繋いだ手に力を込める。
確かなものに変わるように。
桜の花咲く木の下で、幾年経ってもこの笑顔を見れるように。
*****2003/04/10
地元の桜はほとんど終わってしまって、少し淋しいですね。昔から大好きな花なので。
そんな理由でこんな話作ってしまいました。
…意味が分かんない、苦笑。
小説書いたのが久しぶり過ぎてかなり稚拙な文章ですね‥いつも以上…。
無い頭で頑張ってみました。では取り敢えず…逃げますっ!爆。
感想苦情「ドーンと来いっ!」な大地さんのお言葉をお借りします。大地愛してるよー!