Waffle

□child's heart
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よく晴れた昼下がり。

松下は仕事からの帰りに、ふと河川敷へと向かった。

川沿いを歩きながら、光る水面の眩しさに目を細める。

しばらくして、視界の隅に映る見覚えのある人物に気が付いた。

「…シゲ?」

傾斜面の草の上に寝転がる金色の髪の持ち主は、緩慢な動きで松下を見上げた。

「…なんや、誰かと思たわ」

その顔が、ふっと微笑む。

「何をしてるんだ?」

その笑顔に戸惑いを覚えるが何事もなかったように尋ねると、寝転んだままの成樹が空を指差した。

つられて見上げた空は珍しく雲一つない澄みきった晴天。

「あんまり天気がええもんやから、何となく日向ぼっこ」

空から視線を成樹へと向けると、何時の間にか起き上がり、座っていて。

その金色の髪が緩やかな風になびき、空の青と草々の緑によく映えた。



「そんなトコに突っ立ってへんと、ヒマなら隣座らへん?」

ハッと、その声で我に返る。

座ったまま、自分の隣をポンッと軽く叩いて促す成樹に、とりあえず、ああ、と答えて腰を下ろした。

「そう云えば自分は何してたん?いつもココ通るん?」

「いや、たまたまだ」

「ふーん」

素っ気ない返事と共に、成樹が何やら自分の逆隣りをゴソゴソとしだしたかと思うと、缶コーヒーを差し出された。

「…俺に?」

「そ。ラッキーやな、おっさん。向こうの自販機、何や壊れとるみたいやで」

成樹のもう一つの手には飲みかけのコーラ。


「まさか…」

「金入れても何や出て来ぇへんから、軽〜く一発」

「…蹴ったのか」

「そしたら何とオマケ付きやったわ」

二つも飲まんさかい、プレゼント。

と笑顔で渡され、苦笑しながら受け取る。

ちゃんと受け取ったのを確認すると、成樹は再び寝転がり、ニッと笑って空を見上げた。

それに習って見上げた空には、何処から来たのか、小さな雲が一つ浮かんでいた。

思えばこんな風に空を見たのは何時以来だろうか。

ちらりと隣を見ると、視線に気付いたらしい成樹がこちらを向き、笑った。

少し寂しげな、笑顔。



「不思議やと思わへん?」

「?」

「もっとガキん頃は、…昔は、今よりもずっと敏感やった気がするんやけど…」



空の色、雲の形、花の匂いや虫の声…。


新しいものを見付ける度、その一つひとつに感動を覚えた。

でも、今は…?


「そう云う大切なもん、何時の間にかどっかに忘れてきてもうたみたいや」

「…だから、いつも空を見てるのか?」

無くしたものを、再び得るために…。

松下の言葉に、一瞬目を見開いたが、すぐに成樹は笑った。

「なぁ、腹へってたりせえへん?」

「…また俺に奢らせる気か?」

「あら、失礼やわ〜。この前はおっさん自らの暖か〜い好意やろ?今回は可愛いシゲちゃんのお願いや」

「バカ」

「何とでも」



先に立ち上った松下から手を差し出され、その手を取る。


過ぎ去った過去の日を懐かしむように、もう一度だけ、後ろを振り向いた。





*****2002/09/18
何だか訳の分からない話になってしまいました。ごめんなさいー。
って云うか、松シゲって難しいですね!爆。
22才の年の差がこんなに難しいとは…、笑。
ヒサエ様、毎回駄文ですみません!こんなんでよろしいでしょうか?
宜しかったら貰ってやって下さいませ。
キリリクありがとうございました!!!

タイトルは「幼心」の意です。

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