Waffle
□CHAT
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ピンポ―ン…
ある夏の日の夕暮れ、不破家の呼び鈴がなった。
留守を任されていた不破がドアを開けると、そこには。
「…佐藤?」
「お〜、おった。良かったわ」
夕焼けに染まる金色の髪を無造作に1つにまとめ、ビニール袋を持った成樹の姿。
「どうしたんだ?」
「不破センセー、今晩泊めて?」
両手を顔の前で合わせて、上目遣いに強請る成樹に不破は溜め息をついた。
「…また何かやったのか?」
「う…」
見破られて苦笑する成樹を先に部屋に行くよう促すと、飲み物を持って自室に向かう。
自室に入ると、不破のベッドに寄り掛かって涼んでいた成樹に問いかける。
「今日は何をやって追い出されたんだ?」
「ん〜、大したことあらへんねん。寺の奴とふざけて暴れとったら障子破って薙ぎ倒しただけや」
「……」
…大したことではないのか?
半ば呆然とする不破に構わず成樹は続ける。
「せやけどここからが重要なんや!和尚、今日の晩メシ抜きや云うんやで!?そら抜けだすわ。食わな死んでまうもん、俺」
「それでたかりに来たのか?」
少し呆れ顔の不破に成樹はむう、と頬を膨らませた。
「ちゃんと買うて来ましたー。ほら、不破の分も。一緒食お」
ビニール袋からパンを1つ取りだし、不破に渡す。
受け取った不破がそれを口にするまでじっと見ていた成樹が、
「宿泊料、それでチャラな」
確信的な笑みを浮かべる。
口にしてしまった不破は苦笑しながら随分と安上がりだなと成樹に云う。
成樹はうーん、と考えるように間を置き。
「やっぱり?ほな身体で返すわ」
「!」
パンを口いっぱいに頬張りながらの成樹からの問題発言に不破は目を丸くした。
そんな雰囲気がすき。
取留めのない話で嬉しくなる。
たまに見る不破の驚いた顔や笑った顔で、心が満たされる。
だから話をしよう。
もっともっと。
*****2002/07/13
何となくシゲが都合悪いときに逃げ込む場が不破の家だったらなーとか、そんな不純な動機で書いた話です。
あの子は強請るの得意だから!絶対!笑。
可愛い雰囲気の話を目指してみました。
挫けました。有り難う御座いました。
タイトルは、これまたそのまま「おはなし」です。