Waffle
□emotion
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誰かを好きになる気持ちなんて忘れていた。
自分には必要ないものだと思って。
だから、誰かに愛されるなんて思わなかった。
自分の目の前を通り過ぎるものだと思っていたから…。
「ん…」
ふと眠りから覚めた成樹の目に、もう見慣れてしまった不破の部屋が映る。
「起きたのか?」
抱かれていたらしい不破の腕に軽く力が込められ、後ろから声が届いた。
「…この部屋、涼しゅうてええな」
寺は暑うてかなわん。寝起きの擦れた声で答える。
軽く冷房のきいた部屋が、夏特有の熱帯夜を和らげている。
「それなら、毎日でも来るか?」
本人は至って真面目なのだろうが、その言葉に成樹がプッと吹き出す。
「?…何だ?」
「いや、何でもあらへん。…けど毎日外泊するんは和尚に怒られるで、俺」
身体ももたへん、と成樹の肩が笑いを堪えて震えた。
しかし、すぐに不破へと向き直り、ニコッと笑ってみせる。
「せやけどここ居心地ええし、不破もおるしな」
一緒に居りたい。
その言葉に微笑むと、不破は成樹の瞼にキスを落とした。
くすぐったくて、軽く微笑う成樹の唇に自らのそれを重ねる。
その暖かさと心地よさに眠りそうになりながら、それでも微笑みながら囁いた。
「…不破に会うまで、こないな感情忘れとったわ」
そう、不破に会うまで。
不破は軽く笑むと、成樹を抱き締めた。
愛しい人を守るように。
その安らぎの中、成樹は満足そうに眠りについた。
誰かを好きになる気持ちなんて忘れていた。
だから、誰かに愛されるなんて思わなかった。
──全部お前が教えてくれたんや。
不安定だけど、心の開き方。
不器用だけど、人の愛し方。
人間だからこそ持つことの出来る、たくさんの…
──大切な感情を。
*****2002/07/08
初めての書いた小説というか駄文です。
とってもお恥ずかしい限りですが…、当時の自分はこれでいっぱいいっぱいだったようです。
シゲちゃんへの愛が伝われば成功です。
任務、完了。(…ばか)
タイトルは「感情」という意味をこめて(そのままだー)