Waffle

□Happiness
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枕元で響く着信音で目が覚めた。

半分まだ夢心地のまま、手探りで携帯電話を見つけ、通話ボタンを押す。

「もしもし〜…」

『寝ていたのか?』

「…っ不破!?」

意識が一瞬で覚醒した。

何となく視界に入った時計の針は、昼の12時を迎えようとしている。

そこで何か大切な事を忘れている気がして、昨日の記憶を辿る。

「…あ」

会う約束を、していたのだ。

お互い暇だし、学校は休みだし、会おうと。会いたいと。

不破ん家遊びにいくわー、と約束の時間は、11時。

「不破〜…」

『準備していろ。そっちへ向かう』

「ごめんな」

通話を終え自己嫌悪を覚えたまま、居心地の良かった布団から飛び起きた。





「あ、すまん!入っといて!」

窓から寺についた不破が見え、叫んで玄関へと急ぐ。

盛大な足音を立てて走っていくと、丁度扉を開けた不破に抱きついた。

「っさと…」

「爆睡しとったわ、ほんまごめん!」

「…潰れるぞ」

「へ?」

そっと体を離すと、不破は右手に持っていた小さな箱を差し出した。

「ケーキ?」

特有の箱の形状から中身を尋ねた成樹に不破は頷いた。

「何で突然?」

「誕生日だったんだろう?」

「!」

思いもよらない言葉に一瞬、思考が止まった。

「知ってたんか?」

「甘いものは苦手だったか」

「いや!好きや!うわ、なんかめっちゃ嬉しい」

上がってや、と背中を押して部屋へ招く。

部屋の隅に置いていたテーブルを出して、座るよう促して。

もらった箱から、そっとケーキを取り出した。瞬間。



定番のようなバースデーメッセージがケーキの上に飾られていた。

『佐藤成樹くん お誕生日おめでとう』



「…ぶっ、」

「佐藤?」

「ちょ、フルネームて、すごすぎ…っ」

さすが不破や、と笑いが止まらない。

こんな事が出来るのは、自分の周りには不破しかいない。最強だ。



言った覚えの無い誕生日を何故不破が知っていたのか、とか。

どんな顔をしてホールケーキにフルネーム、しかも漢字で名前を入れてもらったのか、とか。

考え出したら止まらなくて、可笑しくて、嬉しくて。



「っ不破、なぁ、こんな楽しい誕生日初めてやで?」

「そこまで笑い崩れるほどか?」

「そうそう。ありがとな、不破。好きやで」

大好き、とまだ込み上げる笑いを抑え込んで、頬にキスをする。



不破という存在が、傍にいるというだけで、こんなにも優しい気持ちになる。





幸せの基準は、自分次第。



でも。



幸せを教えてくれるのは、いつも君なんだ。






*****2006/07/08
4年ぶりです、成樹のバースデー更新、笑。
書きたかったのは明るい誕生日話。そして大地に飛びつくように抱きつく成樹でした。 達 成 !!笑。
何処にいってもシリアスちっくなお話をよく見かけるので。私も書いちゃってますし、大笑。
過去とか全部もう取っ払っちゃって、ただ明るい話を書きたかったので。幸せになってよ、ね。
23歳です。何かもうただただ成樹の成長に感無量。笑。
私年下なのに保護者の気分です、笑。シゲおめでとう!これからも愛してるよ!!!

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