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□可愛い人
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せっかくの日曜…叶絵と映画に行く約束をしていたのだが、結局合コンが入ってしまい、ヤコはヒマをもてあましていた。
「一人で映画ってのもねぇ…」
ショッピングをするにも、財布にはたいした金額も入っていない。仕方なく家に帰ろうかと、路地を曲がったところで人にぶつかった。
「ったぁ…ιすみませんm(_ _)m」
「なんだ!貴様、なんでこんな所にいる!」
妙に偉そうな相手に少しムカッとして顔を見ると、見覚えのある顔だった。
「あ、笛吹さん…こんにちは」
「何を呑気にこんにちはなどと言っている。まったく…貴様のことだ、また食い物の事ばかり考えてボーッとしていたのだろう」
「まぁι確かにお腹は少し空いてるけど…そこまで言わなくてもいいじゃないですか…」
見れば笛吹はいつものスーツ姿とは違うラフな格好をしていた。
「ところで、今日はお休みですか?」
「あぁ、そうだ。休みに一人で出かけて何が悪い。彼女もいないのかと、私を馬鹿にしているのか?」
笛吹は勝手に決め付けてしゃべっている。