咲き匂う花
□淋しい夜には
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「昨日までは優しく微笑んでいたあの月が一晩の間に冷たく変わってしまうように、鷹通…人の心とはわからないものだよ」
いつものように笑う友雅。
それは私の心が時を経て変わると…?
そう言われているような気がした。
「友雅殿…私の心を疑っておられるのですか?」
強い意志のある瞳で見つめられ、友雅は思わず苦笑いを浮かべる。
しかし、扇で口元を隠しているため鷹通には見えていないだろう。
「そう思うかね?」
「はぐらかさないでください。それはこちらが聞いているのです」
「ふふ…っ。鷹通にはかなわないね」
「友雅殿っ」
「鷹通…きみの心を疑ったことなど一度もないよ。きみは嫌いになれば嫌いというだろうしね…」
「では一体…」
あの月の話は?
「本当に人の心とは分からないな…つい最近まで愛することを知らなかった私が今では……」
のびてきた友雅の腕につかまり、そのまま胸のなかへと抱き寄せられる。