咲き匂う花
□淋しい夜には
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二人の間に沈黙が落ちる。
特に何をするでもなく、友雅は鷹通を見つめている。
いや、鷹通を見つめているフリをしてどこもみてはいないのだろう。
「友雅殿?」
心配げに鷹通が声をかけるが、反応はなかった。
何かあったのでしょうか…
力になりたいと
思っているのは私だけでしょうか?
あなたが笑顔でいるなら
私も楽しいから
あなたが悩んでいたら
私も共に悩む
それだけでいいのに…
あなたは自分の弱さを私に見せてはくれない
今だって…
「友雅殿…何を考えているのですか?」
鷹通は読んでいた書物から顔をあげ友雅を見る。
「鷹通…今日の月は冷たく見えないかい?」
ふと外を見て友雅がそんなことを言う。
「え…あぁ。そう見えるかもしれませんね」
そう言われてはじみてみる今日の月は、言われてみれば確かに冷たく見えるかもしれない。
「それがどうかしましたか?」