咲き匂う花
□二人の想い
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「友雅!!」
土御門を出て数歩歩いたところで天真に呼び止められた。
「何だい?」
秋といっても、まだ夏の暑さが残る今。
友雅は扇片手にぱたぱたとあおぎながら、天真を振り返る。
「…好きだっ」
「………私をかい?…それはありがとうと言うべきなのかな」
くすくす…と笑い、友雅は歩きだした。
ついに、幻聴まで聞こえてしまったかな?
内心苦笑いを洩らしながら、友雅は平然を装う。
「ーっ!!茶化すな。俺は真剣なんだっ」
天真は友雅の前に回り込み、行く手を塞ぐ。
「ふぅ…」
パチンと扇を閉じる。
「天真にしては手の込んだ冗談だね。しかし、私もこれで結構忙しいのだよ。そこを退いてくれまいか?」
優しく、それでいて反論を許さない強い口調に天真は一瞬たじろぐものの、真っすぐ友雅の瞳を見つめ、言い返す。
「あかねが今日は友雅は休みだって言ってたぞ」
「休みといってもねぇ…色々とする事はあるのだよ」
扇を顎に当て、ふぅーとため息をつく友雅。