桜下恋想2

□髪結い
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*天匡(天霧×不知火)





「よぉ、風間は居ねぇのか?」

天霧の部屋に来た不知火が室内を見回し、部屋の使用者である天霧に声を掛ける。
天霧は手にする書状から視線を動かす事なく、応える。

「ここは私が使っているので、風間は居ません。一応言っておきますが、風間は出掛けていますので、風間に用なら出直して来て下さい」

天霧・風間の二人と不知火は、同じ鬼であり旧知の仲ではあるが、与する藩が違うため、普段は別行動を取っている。

「馬鹿か、お前。あいつに用なんかねェよ」

文机に向かう天霧の背後に回り、不知火は天霧のその手から書状を取り上げる。

「不知火」

静かな声が咎めるように名を呼ぶが、不知火は無視し天霧の肩を掴むとそのまま引き、押し倒すと天霧の上に跨がる。

「お子様が居たんじゃ、楽しめねェだろ」

口端を上げ笑う不知火に、天霧は呆れたように溜め息を吐く。

「風間が聞いたら、怒りそうですね」

「ああ、そりゃこえぇな。あいつ、すぐ刀振り回すからな。お前の躾が足りねェんじゃねェか?」

「貴方が言いますか」

天霧の手が伸び、不知火の顔を引き寄せ、笑みを象る唇に天霧の唇が触れる。
天霧が誘いに乗ってきた事に気を良くしたのか、不知火の舌が天霧の口腔内に滑り込む。

深く口付けながら、天霧の手が不知火の頭部に回り、髪紐を解く。
途端、長い髪ははらりと広がり、二人の顔をも覆う。

ぴちゃりと音を立て唇が離れると、不知火が不機嫌そうに顔をしかめる。

「おい、髪ほどくなよ、結うのめんどくせェんだぞ」

天霧の行為に不満を述べる不知火を、天霧は引き寄せると、体を入れ替える。
先とは逆に、押し倒される形となった不知火は短く「痛ェ」と溢す。

「私が後で結ってあげますよ」

そう言い、顔を寄せてきた天霧に、不知火は楽しそうな笑みを浮かべ、重なってきた唇を、もっと、と求めるように天霧の首に腕を回した。












UP/2011.04.02



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