メモ@

独り言だったりネタだったりSSだったり。


◆大学生武三 

見慣れないものを見た。なにやら珍しいのでじっと見ていると、見られている武田が軽く首を傾げる。

「三木君?なに?」

「お前、リップクリームなんて今までつけてたか?」

見慣れないもの、それはリップクリームをつける武田の姿だ。
武田はあぁ、と笑う。

「今年からつけるようにしたんだ」

そうなのか、と頷く。そうだよな、確か去年は使ってなかった。冬時に、唇が乾燥して切れて痛い、などと言いながらリップクリームは苦手だとつけてなかった。

「苦手なんじゃなかったか?」

リップクリームが苦手ってのも珍しい気もするが、苦手なものを武田が受け入れているなんて、一体どういう心境の変化だ。

「え?だって、唇が荒れてガサガサしてたら、三木君が痛いかも?って思って」

「俺?が痛い?」

なんでお前の唇がガサガサだと俺が痛いんだよ?疑問に思う俺に、何か変なことを言っただろうか?という表情を向けてくる武田。
考える前に手が伸びて、武田の唇に触れて解を見つける。
人差し指と親指で下唇を挟んで、柔らかいその感触を楽しむ。

「ちょっ、三木、君…な、なに?」

「いや、お前がいつこの潤った唇を、俺の肌に味わわせてくれんのかなって」

俺の言葉に武田は目を見開いて、それから楽しげに細める。
手を取られ、武田の顔が近づいてくる。

「今すぐに」

吐息が唇にあたって、混ざる。
リップクリームはリンゴの香りがした。



終わり

2019/10/28(Mon) 14:27

by ゆき
萌え過ぎて吐血しました……ありがとうございます……


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