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□束縛
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どれも掛け替えのない真実で…
私にとって大切な事で…
弐話 不器用な二人だから
「天気がいいでござるな」
縁側に出て、空を見る剣心。
雲一つない空とは、裏腹にモヤモヤとする思い。
先程の会話を思い出す度に、苦い思いだけが残る。
今日は、薫が見合いに行く日。
行くと告げた日から、剣心は極力見合いの話を避けていた。
だが今日は…
『‥見合い今日でござるな』
出掛けようと準備をしようとしていた薫に声をかけた。
『うん‥どうかしたの?‥その…改まっちゃって』
『いや 見合い相手‥薫殿を理解してくれる人だったら良いでござるな』
君の幸せを願って云った言葉…なのに苦しくなる。
ちゃんと拙者は笑顔だろうか?
薫殿の言葉を聞いた瞬間、気にしている余裕はなくなった。
『私も‥そんな人なら良いなって思っているの』
笑顔で云っていた。
君に似合わない‥淋しそうな笑顔で
自分は、何かを間違えた様な気がした。
だが時は遅し。
薫殿は準備の為、自室に入ってしまった。