捧げモノ&貰い物
□痛い初恋
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時は戦国…
誰もが天下統一を目指して戦っている。
しかしここにとても暇そうに外を眺めている人が一人………。
「ハァ〜…戦戦って皆戦の何が楽しいんだか…」
その少女がため息をつく。
そして前髪がはらりと落ちる。
腰まである長い髪は黒く艶がありなめらかである。
若葉色を基調とした鮮やかな着物を脱ぎ、仰向けに横たわる。
この少女は伊達 未怜
そうあの名高い戦国武将、伊達政宗の妹なのである。
「お兄ちゃんまで戦中毒になってるし……そんなに戦って魅力あるもんなの・」
―しかもこの前の戦から帰って来てから同じ人の話しかしないし、訓練の量も増えた………
あの時はちょうど風邪で行けなかった。
そこで寝返りを打つ。
「…真田……何だっけ…」
兄は確かフルネームで言っていたはずだったが興味がなくてまともに聞きやしなかった。
−お兄ちゃんは真田って人に…
そこまで考えて思考を停止させる。
「あ〜やだやだ!早く誰でもいいから天下統一してくれないかなぁ〜」
そう言って思いっきり伸びをする。
トントン…
戸を叩く音がして声が聞こえる。
「未怜様おられますか?」
「ど〜ぞ勝手に入って」
そう答えると戸がスーっと開けられた。
現れた男は政宗の右目を務めているオールバックの片倉小十郎だった。
「みっ未怜様!!何て格好をされているのですか!!!ちゃんと服を着て下され!!」
未怜の今の姿は脱いだ着物の上に襦袢一枚だけで寝転んでいる状態だ。
「一国の主の妹がそのような姿でおってはなりませぬとあれだけ申しておりますのに!」小十郎は頬を赤くしてまくし立てる。
「も〜こじゅの小言は聞き飽きたってばぁ〜…で何?何か用があって来たんでしょ?」
未怜は起き上がりちょこんと座る。
小十郎は顔を引き締めた。
「政宗様がお呼びでございます」
「お兄ちゃんが…?一体何で?」
「さぁ…私はただ未怜様を呼んでくるように言われただけですので…」
「ふ〜ん…まっいっか」
未怜は立ち上がり服を着直し始めた。
「わっ私は外で待っておりますっ!!」
小十郎は慌てて外に出た。
「何?あの人…」
小十郎とは幼い頃から一緒に遊んでいたので家族同然に思っていた。
それは小十郎も一緒だと思っていたのに、いつの頃からか小十郎は未怜に距離を置いている気がする。
理由は分からないが。