番外編

□番外編之一「月の守人」
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 「あ〜、肩こった。」
緊張感の無い声でそんなことをいいながら、光月家の屋敷から男が出てきた。
彼は数日前、光月家の娘が怪我をしているところを、救けてやったことがあった。
とは言っても、応急措置をしただけだが。
「…しかし、無事でよかったねぇ、あの子も。傷見たときはびびったけど。」
今日は、その後の経過が少し気になったため普段は近づかない光月家の館を訪ねたのだ。
そう、彼はその子を助ける前からここを知っていた。
彼の姉がこの屋敷の使用人をしているせいも無いとは言えないが、光月家とのつながりはもっと古くからある。
彼の家…月森家は、光月家の歴史の裏に必ずいた。
決して表舞台に立つことはない、ツキモリ…月を守る家…。
その習慣は、それぞれの先祖が一つの家から二つに分かれた時からのものである。
まぁ、いわゆる…分家なのだ。
ただし、光月の先祖は人狼の母を持つのに対し、月森の先祖は水の精…ウンディーヌを母にもつため、数少ない癒しの力を持つ一族なのだ。
そのため彼らは長い歴史の中でずっと光月家に仕えてきた。


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