本編

□第三話「酒場の邂逅」
2ページ/25ページ


港の北に位置する小さな村。
「もう行かれるのですか?」
「はい。あまり長居もできないので…。」
「そうですか…。それではまた、近くに来たときは立ち寄ってくださいね。ショウさま。」
ショウと呼ばれた少年は、にこりと笑って
「それでは。」
民家をあとにした。
 「……はぁ。」
村の外に出たところで、ショウは大きなため息を吐いた。
「よ、お疲れ。‘ショウサマ’」
「カルロ…。他人事だと思って…。」
「だって、他人事だもんな〜?」
カルロと呼ばれた少年は、楽しそうに笑みを浮かべる。
「にしても、よくできるよなぁ。オレだったら絶対我慢できねぇ。」
「我慢とかじゃないだろ。前に村の魔物を封印した礼にと、親切にもオレら二人を泊めてくれたんだぞ?」
「でも、オレはおまけだろ?まるっきり眼中になさそうだったし。」
「……。」
「我慢はしてないって言うわりには、笑顔が引きつってたよな。」


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ