本編

□第一話 「水上の町と氷の悪魔」
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水の島に、一艘の船が到着した。
「あ〜、疲れたー。船旅は海がおもしれぇけど、やっぱ疲れるよなぁ。」
まわりを気にせず大声で話ながら、カルロが船を降りてきた。
「船の操縦とか、ほとんどオレがやってんじゃねぇか、なんでそんな疲れるんだよ!」
縄で船を港につけながら、ショウが不機嫌そうな声を出す。
「だ〜ってよ〜、オレ、狭いとこにいるだけで疲れんだよ。センサイだから。」
「繊細?!お前が繊細だって?!本当に繊細なやつは、自分で繊細だなんて言わねぇ
よ。」
「へいへい。…でもよ、オレのが年下なんだしよ、いいじゃねぇか。」
「年下ってなぁ…。こんな時にばっか引き合いに出して…。じゃあ聞くけど、お前、普段
オレを年上として敬ってるか?」
「いんや。」
「だったら…」
堂々と言い放つカルロに呆れつつも、ショウは「勝った」と思った。
しかし…
「それは、ショウが尊敬するようなことしてないからだろ。」
「……う…」汗
何だかんだで、この相棒に口で勝つことはできないのだ。
「あ〜、わかった!もういいよ。」
ショウは、もう何度目になるかわからない敗北にため息をつきながら、船に残っていた自
分の荷物をおろした。
「じゃ、行こうぜ。」
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