本編

□第七話「太陽の王子と白翼の賢者」
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 謁見の間の通用口を通り、客人が国王と謁見している様子を遠巻きに眺める。
確かに、二十歳前後の若者と、10歳前後の子どもにしか見えない背丈の者が、そこにいた。
片方は緑色、もう片方は青色という、二人とも、普段あまり見られない髪色をしている。

魔法使いの一族は、魔法の素養を持って生まれたならば、何もせずとも決められた髪色になる、まるで呪いのような魔法を、血族にかけている。
魔法使いたちは、そうして徒人との違いを主張しているのかもしれない。

彼らも、そんな魔法使いの一族の生まれなのだろう。

「それでは、何か。このままその闇の力とやらを放っておけば、国は滅びると。そう言いたいのか?」
「・・・まぁ、要約すればそういうことになりますかね。」

聞こえてきたのは、父王と謁見者の青年の会話。
なかなか物騒な言葉が聞こえたが、何の話しをしていたのだろうか。

闇の力が何なのかはわからないが、ルクソールは最近、妙な気配を感じることがあった。
魔法使いだという彼らは、そのよくわからない何かが、何であるのかをわかっているのかもしれない。

「摘み出せ。」
「な・・・」

しかし、父王の反応は冷たいものだった。
無理もないだろう。
彼らの言っていることが真実なのだとしても、魔法の素養がなく、魔力を感知できない王には判断ができない。
ならば状況から判断するしかなく、それだけで見れば彼らは、いきなり現れた得体の知れない若者にすぎない。
珍しい魔法使いという職業ではあるらしいが、国に仕える者でもないし、身分だけで信頼するのはあまりにも浅慮である。
そもそも、彼らが本当に魔法使いであるのかでさえも、王には判断がつかない。
そうではあるのだが・・・

「誰だ?こんなのを連れてきたのは。」
「ロスチャイルド侯爵の紹介です。」
「ほぉ、あやつか。」
「はい。ですから、話を聞くくらいはしてもよろしいかと判断いたしまして・・・」
「話は聞いた。もう十分だろう。」
「我々の話をすぐに信用していただくのは難しいことは承知です。しかし、貴国の魔法使いに確認させてみてはもらえないでしょうか。」

青年は、あくまで丁寧に、真摯な眼差しで申し入れをする。

「いらん。去れ。」
「何卒・・・」
「しつこい。・・・お前ら何をしている。摘み出せと言ったはずだ。」

王の対応は、あくまで冷たいものだった。
彼らの真剣さに躊躇していた兵士たちも、王の再度の言葉に動き出す。

ルクソールは連れ出されて行く二人を見送り、自らも謁見の間を後にした。



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