五つの秘宝

□炎の巻
2ページ/28ページ



五話 山中の対面


 飛翔百五十二年、初春。
 この海の南東にある、いくつかの山を有する島。昔はその山が火山であったことと、山の麓に村を構える人々独自の特殊技術から、【炎の島】と呼ばれている。


 その山中に、一人の少女がいた。近くには焚き火と、葉などを集めて作ったと思われる寝床がある。
彼女は、そこですでに何日かキャンプをしているようだ。
 焚き火の具合を見ていた彼女が、ふいに顔を上げる。
(村の方が騒がしい・・・。何かあったのかしら?)
ガサッ!
と、そこに。茂みの中から何者かが飛び出してきた。
「「・・・・・・。」」
互いに、こんな山奥に自分以外の人がいるとは思わなかったのだろう。
しばし、静かな沈黙がその場を支配する。
焚き火の爆ぜる音に、二人は我に帰る。
「・・・・・・怪我を・・・?」
少女は、突然の侵入者に戸惑いながらも、その体をすっぽりと覆うマントに滲む赤いものに気付き、問う。
「大丈夫?」
少女が傷の具合を見ようと手を伸ばすと、その者はさっと身を引き、また茂みの中を去っていってしまった。
「あ・・・。」


 翌日、少女が目を覚ますと、目の前に白い無機質な小鳥のようなものが飛んできた。
(村からの手紙だ・・・・・・。)



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ