五つの秘宝

□始の巻
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 序章 闇の秘宝


 人がまだ、大海を渡る術を持たず、近くにある島の存在しか知らなかった頃の話。

 この六つの島からなる小さな世界には、一つの伝説がある。



 その昔。人々がまだ、人外の物と共存し、魔を扱う術を知る者も多くいた頃。この世界は闇の中にあった。

強大な闇魔法の力によって太陽の光がさえぎられ、人々は弱り、逆に一部の人外のものは凶暴化し、世界の均衡はなす術もなく崩れようとしていた。


 そんな時、世界を救うために立ち上がった少年がいた。彼は後に、「【伝説の勇者】ショウヤ」として、名を広める。

 彼は、共に旅をしてきた仲間たちの力を借り、闇魔法の力を消滅させた。

そして、それを使っていた者も倒し、その恐るべき魔力を五つの宝玉に封じ込めた。

それらを使って作られた宝は、その世界にあった五つの国に納められ、ショウヤの、その強大な力を、必要な時に有効利用できるようにしておこう、という考えのもと、完全に存在を消すことはなく、【秘宝】という形で残された。



 しかし、その秘宝は想像以上の力を持っていた。使用者に大いなる力を与える代わりに、精神を蝕み、最終的には死に追いやってしまうのだ。

その恐ろしい副作用をなくすため、当時最高と謡われていた魔法使いが手立てを打とうとしたが、それもかなう前に、何ものかの手によってなくなってしまった。


 そのために、秘宝は、闇魔法使いの魔力が封じられた宝・・・【闇の秘宝】として語り継がれる一方、一般の中での存在感は薄くなり、それが事実であったことさえ忘れられようとしている。


 この一連の事件の後に残ったのは、彼らの偉業を称えてつけられた、世界共通の年号【飛翔】と、【闇の秘宝】と、それにまつわる【伝説】、そして・・・、悲しい、【掟】だった。




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