本編

□第七話「太陽の王子と白翼の賢者」
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Light and Dark〜光と闇の物語〜
第七話 太陽の王子と白翼の賢者




世界暦1623年。末
広大な土地と豊かな土壌に恵まれたこの国は、島々の中央に位置することや食料の輸出が盛んなことから、貿易の中心地になっている。
この島は、大地の島と呼ばれる。


年の終わりを控え、この島の人々は新年の祝いの準備に慌ただしく動いている。
中でも、国の中枢にある城の中では、多くの大人たちが忙しなく働き動き回っていた。
そんな城内の回廊を一人、まだ幼さの残る少年が歩いていた。

周りからは浮いた存在の彼だが、人々は皆気にする様子はなく仕事に没頭している。

「さっきの見たか?」
「あぁ。すごい色だよな。」
「魔法使いですかね?」
「らしいな。」
「でも、見ない顔だな。」
「外からの奴らだろ。」
「しかし、一人は子どもでしたよ。」

少年が歩いて行く先で、3人の兵士たちが見張りの位置についたまま話していた。
年末のこの時期、各町や村からの挨拶などのため、城へ訪れる者は多い。
世間では珍しい存在の魔法使いも、城下町には国営の魔法使い協会が存在するため、挨拶はもちろん、国からの仕事を受注しにくることも少なくない。
しかし、子どもとは・・・

「何かあったのですか?」

少々気になった彼は、その兵士たちに声をかけた。

「何って・・・・・・・・・ルクソール様!?」
「なぜこのような所へ・・・」
「すみません、お仕事の邪魔をしてしまって・・・」
「いえ、けしてそのようなことは!」

いきなり挙動不審になる兵士たちに対し、少年・・・ルクソールは、柔らかい笑みに少し困った色を含むものの、随分落ち着いていた。

「・・・・・・この先の・・・謁見の間に、変わった来客でも?」
「は、はい。魔法使いと名乗る若者と、共の子どもが・・・」
「陛下にお話があるというので、謁見の間へ・・・」
「知らぬ顔だったのですが、貴族のロスチャイルド侯の紹介だったので・・・」
「なるほど。・・・まだ、その人たちが面会中ですか?」
「は、はい。まだ出てきていません。」
「そうですか。ありがとうございます。」

ルクソールは一礼すると、謁見の間へ向かった。


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