本編

□六章「新たな学舎」
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六章 新たな学舎


魔界暦二三六三年(光明二年) 青靄の月(春)

 この春、光月朔弥と巧夜は、第一初等学校から進学した。
国立魔法技術学校。初等学校卒業が最低条件。その上で、魔法技術関連で突出した才能、実績がある者、もしくは中等学校卒業以上の学力を持った者が受験することができる。
が、しかし。突出した才能、実績を持つ…所謂天才は極僅か。
ほとんどの生徒は、中等学校を卒業後進学してくる。
 そんな学校へ巧夜は『巧夜』として仕事をしてきた実績で。朔弥は中等学校卒業以上の学力で入学してきた。
巧夜は『巧夜』の功績を利用するのははばかられたが、家庭での自主学習はまだ中等学校最高学年の過程の学習中という段階のため、断念せざるをえなかったのだ。
もっとも、巧夜とて幼い内から修行をしてきた身。特別枠に恥じることない実力の持ち主ではあるのだ。
要は、本人の気持ちの問題だけで。
 この学校は単位取得制で、一般教養以外の授業は各人が各々の学部学科専攻に合わせて授業をとっていく。
逆を言えば、一般教養の授業のみはクラス単位で行われるのだ。
今はその一般教養の授業の第一回目。
朔弥と巧夜は、朝の鍛練をいつもより少し早めに切り上げてきただけなのだが一番に講堂へ入ることができ、講義を聞くのに一番いい場所をとることができた。
しばらくすると他の学生もちらほらと姿を見せはじめ、初めの授業だからか、同じ学校や町出身と思われる人同士で固まっている。
その為、四人掛けの机に二人で座っている朔弥と巧夜の隣には、まだ誰もいなかった。
生徒もほぼ集まってきてたところで…。
今来たのか、一人で二人のところへ歩いてくる変り者がいた。



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