本編

□序章「生と死」
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序章  生と死

 ここは、人がすんでいるのとは違う世界。
その世界にある国のひとつに属する日の上ることのない夜の村。
そこには、古くからある一族が住んでいる。姓は「光月」
王族とも深いかかわりを持つ忍びの家系に、いま、新しい生命が生まれようとしていた。

 魔界暦二三五二年(和羅(かずら)百二四年) 白神の月(秋)
一人の男が、部屋の前で落ち着きなく動き回っている。その男の名は光月(こうづき)巧真(たくま)忍びの一族光月家の現当主である。
いま生まれようとしているのは、彼の子供なのである。
忍びとはいっても所詮は人の子、一人の父親である。わが子の誕生が待ち遠しいのは変わりなかった。



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