番外編

□番外編之三「月下夜想曲」
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 お仕事でいらっしゃるようになったとはいいましても、悪く迄でも父の護衛。
私がお話しする機会などはありませんでした。
それがお話するようになったのは、ある新月の夜でした。
夕飯の後父の研究室の前を通ったときに、その日は人の気配を感じて振り向くと…驚いた顔をした巧真様がいらっしゃいました。
「…巧真様…」
「…知っているのか?」
「はい。先輩のことは、学校でお名前を何度か…。」
「…なるほど。後輩か。」
先輩である巧真様からは、初めは淡々とした、冷たいような印象を受けました。
しかし、それは人と話すのに不慣れなだけだとわかり…。
年上の方なのに失礼かもしれませんが、かわいいところもあるんだな、なんて思ってしまいました。
お話をするようになってわかったのは、巧真様は中等学校を卒業されてから、国立魔法技術学校に進学され、通学しながらお仕事をされているとのことでした。
今は護衛という付きっきりの仕事をしているので、休学をしているとのことでしたが。
私も、人と話すということはあまり得意ではありませんでしたが。不思議と、巧真様とのお話は楽しいものでした。


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