misstake

□純粋ってなんですか?
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「あ、実優先輩」


「え?……財前、くん」


お昼休み、お弁当を持って屋上にでも行こうかと廊下を歩いているときだった。
突然後ろから誰かに名前を呼ばれて振り返ると彼がいた。


「ふっ、そんなあからさまにイヤそうな顔せんでください」


そんな指摘をされて私は初めて眉間にシワが寄っていることに気づき、思わず手で隠す。
だって、一瞬、ほんの一瞬だけ、なんだか財前くんが悲しそうな顔をした気がしたから。


「ごめん、そういうつもりじゃ…」


罪悪感を感じて謝れば、彼は一瞬驚いてから相変わらずおかしな人やな、そう言って笑った。



「実優先輩、もしかしてお昼まだ食うてないんすか?」


「ああ、うん、まだこれから…」


財前くんの視線は私が持っているお弁当の袋に向いていた。


「1人で?」


「うん、友達が委員会で」


「ほな、お昼一緒しません?」


警戒を含んだ目で見れば、彼はふっと笑う。


「そんな警戒せんでも大丈夫ですって。ちょっと先輩に興味が湧いただけっすわ」


「興味…?」


「はい。純粋に」


ウソくさい笑顔に思わずはははと乾いた笑いを返した私に彼はさらに笑みを濃くする。
その顔が、なぜかこの間見たテニスを真剣にしてる顔が重なった。

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