misstake

□よろしく
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彼が歩くままについて行けば、そこは屋上だった。
気持ち良い風に吹かれてやっといくらか心も鎮まる。

それから、ふうと一息ついて彼を見据える。


「私、松下実優」


「はい?」


「?、名前でしょ。呼ぶとき困るし君の名前も教えてよ」


なぜか呆けた顔をする彼に説明をすれば、相変わらずその顔のまま財前光ですとだけ言った。


「財前くん、ね。とりあえずよろしく」


そう言えば、財前くんはまたなぜだかわからないけど急に笑い出した。


「え、なんで笑ってんの?頭おかしくなった?」


「や、おかしいのは先輩っすわ」


まだ笑いが収まらないのか笑いを含んだ声で言われる。


「昨日のことあんま良く思ってなかったくせに"よろしく"なんて言わんてフツー」


「…言われてみれば」


なるほど、と納得すれば財前くんはまた笑い出す。

別にボケたわけじゃないのにこんな笑われるとなんか恥ずかしいんだけど。

でも、まぁ…こう笑ってる財前くんを見てると同じ学生なんだなって思えて私も一緒に笑ってしまった。

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