misstake

□理解できない、したくもない
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「セーンパイ」


この声、それに黒髪にピアス。
間違いなく昨日の彼だった。


「、…誰ですか」


あんなことされて忘れるはずもない。
怒りもまだ収まってるわけない。


「えー、冷たいっすわ先輩」


けど、もう二度と関わり合いになるのは…面倒事は嫌。

そんな私とは裏腹に彼は何事もなかったように話しかけてくる。


「用事あるんすわ。ね、ちょっとだけ時間くれません?」


「だから、人違いじゃないですか?手を離してください」


「…ふうん、あくまで知らんフリっちゅーわけっすか」


思い通りにいかない私の行動にイライラするかと思ったけど、むしろそれを楽しんでるみたいで。
もともとよく知らないけど、もっと意味がわからなくなった。


「それなら他の…ああ、あの子とかええな」


彼はぐるりと私のクラスを見回し1人の女の子で視線を止めた。

私の、友達…?


「もしかして…」


私の呟きに彼はニヤリと笑った。

やられた…!
つまり私がついて来ないなら私の友達を次のターゲットにするつもりなんだ、昨日と同じような。


「やめて!」


「…やめてって一体何をです?」


「っ、…私が、ついて行ったらいいんでしょ。友達には手を出さないで」


ヤラられていいわけじゃない。
そこまで私に自己犠牲があるわけじゃないけど、彼女にはここに転入してきたときに優しくしてもらった恩もある。


「ふっ、なんや、ずいぶんあっさりやな」


まるでつまらないとでも言いたげに吐き捨てられた言葉に怒りでも呆れでもない、ただただ信じられなかった。

なんなんの、ほんと意味わかんない。

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