misstake

□はじめましてさようなら
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放課後。
私は部活終わりに教室に忘れ物を取りに行った帰りだった。

ガタガタと机とイスが揺れる音を不審に思って教室を覗けば…


「え…!」


教室の中では性行為が行われていた。
私は自然と眉間にシワが寄るのを感じた。

信じられない、最悪。
学校で、しかも夕方とは言え人が通るかもしれないとこで。

早く帰ろう、そう思ったときだった。

机やイスがぶつかった大きな物音と叫ぶような怒鳴り声が聞こえた。


「なんでっ?あたしのこと好きやなかったん!?」


どうやら怒鳴り声をあげたのは女の子の方らしかった。


「はあ?アホらし。最初決めたやろ、お互い好きにはならへんって」


対して彼は冷たすぎるほど冷静だった。
まるで彼女には欠片ほども興味がないように。


「そ、れは……だけど好きになってしもたんやもん!光も少しくらいあたしのこと…」


「ウザいっすわ」


遮るようにはっきりと言った彼に彼女が息をのむのがわかった。
ショックすぎて言葉も出ないのかもしれない。


「残念やけど、もう話しかけんとってくださいねセンパイ」


追い討ちとも言えるように放たれた言葉は見えない刃のようで。
ひどい、ただそれだけ強く思った。

そう、それだけ感情が入りすぎたのかも。
だから、隠れるタイミングを逃した私は教室から出てくる彼と鉢合わせしてしまった。


「…ノゾキっすか。ええ趣味やな」


「ちがっ…」


「ああ、それとも次の相手になってくれはるんですか?」


どんな思考回路してたらそうなんの!そうは思ったけど、ぐっと堪えて黙る。


「なーんや、意外」


シカトよ、シカト。
こんなのに関わったってろくなことにならないんだから。


「おとなしい顔しとんのに」


そうやって無視して通りすぎようとした。
でも、それは叶わず、私の腕は彼に掴まれ、引き寄せられるままに体を預ければ唇には柔らかい感触がした。


「こーゆーの、好きなんすね」


ペロリと舌で下唇を舐め、ニヤリと笑う彼を前に私は何をされたのかわからなかった。
けど、認識した瞬間、掴まれていた手とは逆のほうの手を振り上げ、しっかりと彼の頬に赤い痕を残していた。









:)お題を確かに恋だった様からお借りしました。

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