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□恋、本能的
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「お、あの子可愛いくない?」



そう嬉々としてキヨが言うものだから



「そうだね」



なんて冷たく返してみる。そしたらあたしの気持ちに気付いてくれるんじゃないかな、って



「だよね〜!あんな可愛い子見れるなんて俺ってラッキー♪」



だけど、あたしがバカだった…気付いてくれるわけないよね



「あれ?どうかした?」



「なんでもない」



「そう?あ、あそこにいる子も可愛い〜」



………もう、溜め息しか出ないや。そもそもあたし女に見られてないんじゃない?
ああ、なんか自分で言って落ち込む…

そんなことを悶々と考えていたら、肌が黒くて夏は見てるだけで暑苦しそうな男が2人近付いて来た。



「キミ可愛いね〜俺たちと一緒にお茶でもしない?」



「は?」



なに?この一昔前みたいなナンパ野郎…
さっきのこともあって、キレてたら見慣れたオレンジが目に飛び込んできた。




「ごめんね〜悪いけど、この子俺の彼女なんだ」



「キヨなに言っ…」



「しぃーっ!いーから黙ってて」



あたしの口はキヨの手で塞がれ、そう小声で言われる。



「ハァ?おまえ、さっきあっちにいる女ナンパしてただろ」



ナンパ男の言うことは意外に正論。
てか、見てたんだ。


「そーそー!だから、この子は俺たちに譲ってよ」



"譲って"って…あたしモノじゃないんですけど!



「はは…痛いトコ突かれちゃったな〜でも…」



キヨは一旦そこで切ると、今まで見たことのないような怖い顔になる。



「彼女をモノ扱いするようなヤツらに渡すわけにはいかないよ」



口調こそ柔らかいものの、キヨの顔は笑ってはいなかった。



「な、なんだコイツ!」



「お、おい!もう良いじゃん!行こうぜ!」



キヨの豹変ぶりに怯んだナンパ男たちはバタバタと急いで逃げて行く。



あーあ…もう嫌になる。
キヨはいっつも不意打ちなんだって。



「ふぅー…。ん?なんで笑ってんの?」



「なんでもない」



キヨがいつまでも不思議そうな顔するもんだから、あたしは思わずまた笑ってしまった。









あたしにキヨを好きな理由なんてなくったって良い。





きっとあなたの全てにあたしは
恋してる思うから











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