Treasure
□不器用なとこも大好きだから
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帝丹高校に授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
(おっ、終わったみたいだな。)
自分の学校が終わった瞬間に学校を飛び出してここへ来た俺は、新一がまだいるであろう2年B組の教室をこの高校の正門から見上げる。
丁度、新一のクラスメイトと思われる男子学生が俺の視線に気付いたらしく、教室内に向かって何か言ったようだった。
それから数分後…。
靴箱から、俺の思い人であり恋人でもある、“工藤新一”が出てきた。
「新一!」
嬉しくて、思わず名前を呼んで、大きく手を振る。
それに気付いた新一が、一瞬なんとも言えない顔をして俯く。
付き合い始めてから気付いたのだが、あの顔は、なんだかんだ自分の恋愛事には不器用な新一の、照れているのを素直に表現できない時に出る表情らしい。
「…おい、快斗。お前、わざわざここに何しに来たんだよ?」
近くに来て、開口一番のこの台詞に、思わず笑みが漏れる。名探偵のくせに、本当に自分の恋愛に関しては疎いらしい。