○
□灯籠
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それからしばらく、優はベッドの上で何を考える事もなく座っていた。
ベッド端にあるサイドテーブルには飲み干したスープの皿が置いてある。
「はぁ…… …あ。」
ため息をつき片手で前髪をかきあげた時、ふと思い出した。
「そうだ、この館から出ないと」
どうにかしてここから出なければ自分がどうかなってしまう。
意を決してモソモソとベッドから降り、ドアノブに手を掛けたときだった。
「!」
「お、君が優くんかな?」
優よりも先に、ドアが開かれ男が入ってきた。
「…は」
「これから散歩かな?僕も一緒に行ってもいいかい?」
「え、いゃ違、」
「それじゃあ行こうか」
男はほぼ無理やり優の腕を掴むと歩き出した。
「あのっ…ちょっ、」
「所で優君、鬼龍とはどんな関係なのかな?」
「きりゅう…?」