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□奈落の底
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「優様!恩田優様!」
「だっ…だ…れ」
優の目は泣きはらして真っ赤だった
「やっと落ち着いて下さった…。私はご主人様の付き人、兼、使用人、兼、秘書の杉村従(スギムラジュウ)です。」
「杉村…じゅう…?」
優が復唱すると、そっと息を吐き手を離した。
優は起き上がり杉村を見る。
「私は、ご主人様の周りを取り巻く全てのものの管理をしている者です。…もちろん、これからは優様のお世話もさせていただきます。」
杉村は優に目線をあわせるように屈み込み、優しく言った
「俺の…世話?」
「はい」
このやさしげな微笑みに、優の心も少しだけ和らいだ気がした
暫く2人は見つめ合ったが、言葉を発したのは杉村だった
「さあ、優様。夕食のお時間です」
「ゆー…食?」
「はい、龍様から優様に夕食をお出しするよう申しつけられております」
'龍'と言う言葉にビクッと体が強張った
『また犯られる』
その言葉が頭に過ぎった瞬間、先ほどのような震えが再度襲ってきた
しかしそれに気付いた杉村は優しく優の頭を撫でながら言った
「安心して下さい。龍様は今お仕事に出ていて明け方までは帰って来られないですから」
その言葉に多少安堵する。
「しかし…その前に体を清めましょう」
自分の体を見ると、乾いてこびりついた精液が身体全体に纏わりついていた。
そして少し動くと、あの男が出したと思われる精液がゴプッと溢れ出てくる。
ベッドの端にはバイブ。
全裸同様だった身体を唯一隠していたシャツが無造作に投げ捨てられていた
それに優は赤面する。
まるでどこかのAVビデオのワンシーンのようだった
「さぁ、」
エスコートする杉村に身体を預け、誘導されるまま、鈍痛が走る腰を押して部屋を出た。