□クリスマスプレゼント
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「鬼龍」と呼ばれ、その世界では恐れられている堂嶺龍は、何年かぶりに困惑した顔で立ち尽くしていた。


今日はクリスマスイブ。
自分の素直な感情を示す事が苦手な龍は延々と出ることのない答えを探して頭をフル回転させている。

手に握られているのは黒の包装紙に金のリボンがされた、巷で言うクリスマスプレゼントだ。

ある日偶然聞いてしまった優の話。使用人の従と、クリスマスについて話していた。

「もうすぐクリスマスだね」

「はい。優様は何か欲しいものあるんですか?」

「んーん、第一この屋敷に居るかぎり無理だよ」

「そんなこと有りませんよ…、きっと龍様が与えて下さいます。」

「あんな男からなんて…欲しくない」

「さようですか…。それでは、仮にサンタから貰えるとしたら何が欲しいのですか?」

「えっ…?えっと…」

「くす…照れてらっしゃるのですか?いいですよ、言ってください。」

「うん…、あの俺…ピアスが欲しいんだ、」

「ピアス…ですか?」

「うん。従も仁もりゅ…龍もしてるから…」

「なるほど…でもピアスをするならまず穴を開けなければなりませんね」

「あ…そか、」









…と言う話。
そして今までに無いほど悩んで選んだこのピアス。

喜ぶだろうか。しかし自分は優に嫌われている。どうやって渡すか…問題はこれだった。



ギィ…

静かに部屋のドアを開ける。
すやすやと規則正しい寝息をたてる本人に近寄り、ベッドの端に腰掛ける。

「…」

枕元にプレゼントを置き、優に向き直る。
額に掛かった髪を分けて、キスを落とした。


「んっ…」
小さく唸りながら寝返りをうつ。


暫く優を眺めたあと、静かに部屋を出て行った。









「ん゙ーっ!…ん?なんだこれ」

朝目覚め、伸びをすると手にコツンと何かが当たった
一見プレゼントのようだ。

まさかと思い、包みを開けると黒と透明なダイヤモンドがあしらわれた綺麗なピアスだった。

「これ…」
すごく綺麗だ…

手に取った時だった

コンコン
「優様おはようございます」

「従…これ従が…?」

従に見せると、首を傾げ、いえ…と呟いた

「もしかすると…龍様では?」

「え…」

従はふっと微笑んだ。
なんで俺の欲しいものが分かったんだろ…

「お礼、言わなければなりませんね」

何故だか従はずっとニコニコしていた
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