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□離れた心
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「んんっ…けんとぉ」
足をやらしくくねらせながらベッドに全裸で横になる
「あぁ?んだようるせぇな」
「入れてよぉ」
「嫌だね。めんどくせえ」
テレビの前であぐらをかく剣斗に痺れを切らした僕は、起き上がり剣斗に跨った。
「ねぇ…もう一週間もしてないんだよ?」
「邪魔だ」
「ね、僕の他にも恋人いるの?」
「あぁ。お前飽きた。出てけ」
途端にズキンと胸が痛くなる。
「そ…だよね…」
僕は立ち上がり自分の服を掴む
「…?オイ雪?」
雪とは僕の名前。
名前を呼ばれたのはいつぶりだったかな。
◆
『あんっあんっあっ!ふぁっ』
『淫乱!っもっと締めろ!』
ペチンと尻たぶを叩かれ、穴が締まる。
『くっ…やれば出来んじゃねぇか』
気をよくした剣斗は何度も何度も叩く。
『ひぁっ…あっあっあっ…!』
激しく突かれまくり、気絶する。
◆
いつもその繰り返し。目を覚ますと剣斗は居ない。僕が気絶しても後処理もしてくれないし真冬でも布一枚かけてくれない。
優しさの微塵もない。
最初はこんなんじゃ無かったのに。
"飽きた、出てけ"その言葉で決心した。
もう無理だ…別れよう、離れよう。
僕がいくら尽くしても見向きもしなくなったこの男から。
僕は溢れる涙をこらえて服を着、呼び止める声を無視して部屋を飛び出た
ひたすら走った
あの大きなマンションが見えなくなるまで。
ひたすら、ひたすら
バイバイ、剣斗――…
end
→あとがき