ボクとキミの夏の空
□言葉なんていらない
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言葉にしなくても
伝わればいいのに…
◇◇◇
油断してた…。
あいつと過ごす日々は
あまりにも穏やかで。
「東雲くんおっはよ〜
宿題やった?」
あまりにも、心地好くて…。
「…ごめん!うつさせて〜」
暖かくて。
「放課後っ!放課後までに返すね…!」
忘れかけてた…。
「…痛ぇ‥‥」
頭が痛い。
身体が重い。
思考がついていかなくて…俺は与えられる痛みに、ただ歯を食いしばって耐えるしかない。
痛みを通り越して、感覚がなくなってきている気がする…。
もう、身体が動かない。僅かな動きすらままならなくて‥小さく舌打ちをした。
(…あいつが)
山内が、待っているのに。
「……くそッ‥」
今の俺じゃ、こいつらから逃げられない。
それなら…
「……来るな…」
頼むから、俺に気付くな。
どうせ逃げ出せないのなら。せめて、お前は俺の元に来てくれるな…。
「‥‥‥‥山内、」
お前だけは、俺のことで巻き込みたくないから………。
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